こんにちは!『サラリーマン卒業計画』を運営している35歳の現役サラリーマン、3児の父です。
本ブログでは、共働きで子育て(主に3人)をしながら資産形成し、セミリタイアを目指す方に向けて、私自身の体験をもとにした実践的な情報をお届けしています。
本記事では、セミリタイアを目指すうえで最初にぶつかる「目標資産額はいくら必要?」という疑問にお答えします。

- とりあえずザックリでもいいから、目標金額の目安がほしい
- 自分の家計事情に合ったセミリタイヤ資産を算出したい
- 将来の教育費や大きな出費も踏まえた精密な計算が知りたい

こんな方に向けて、梅・竹・松の3ステップによる目標金額設定法をご紹介します。
注意:
本記事は「いくら貯めればセミリタイヤできるか」に特化した内容です。節約術や投資の具体的な方法については別記事で解説しておりますので、そちらをご参照ください。
目標金額設定がなぜ重要なのか?
「セミリタイア=会社を辞めること」と思い込むと、実際に辞めた後の暮らしや必要資金が見えなくて挫折しがち。
しかし、セミリタイアはあくまで“理想の暮らし”を実現する手段です。
- どんな生活を送りたいのか?
- 毎月いくら必要なのか?
- 家族の教育費や特別出費はどう計上するか?
これらが明確になるほど「何のために頑張るのか」がハッキリし、モチベーションが持続しやすくなります。
目標資産に加えて、セミリタイヤの目的を明確にしたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
4%ルールとは?(本記事の前提)
目標金額の算出でよく用いられるのが4%ルールです。
これは「年間支出の25倍の資産があれば、理論上“取り崩しても長期的に枯渇しにくい」とする考え方。米国株式市場の過去データ分析がベースになっています。
- メリット:ザックリとした目安をすぐに算出できる
- リスク:将来の株式リターンやインフレ率は不確実で、4%ルールが“絶対に安全”という保証はない
ポイント
- 「4%を守れば大丈夫」というわけではなく、あくまで1つの試算基準
- 副業収入や家賃収入などがあれば、不足分は小さくなるため必要資産額も下がる
- インフレや予想外の出費などを考慮すると、少し余裕を持った計算が望ましい
3ステップで考えるFIRE目標資産
本記事では、3つの計算法=“梅・竹・松”を提案しています。

あなたの家計状況や性格、ライフプランに合わせて選んでみてください。

1.梅(STEP1):まずは「ザックリモデル」で大枠を知る
こんな人におすすめ
- 細かい家計簿をつける余裕がない
- 大まかな金額さえ分かれば、まず行動を始められる
- 平均的な支出と4%ルールをベースに試算してみたい
2.竹(STEP2):自分の家計簿をベースにパーソナライズ
こんな人におすすめ
- 日常的に家計簿をつけている
- 「平均モデルと自分の実際の支出は違うのでは?」と感じる
- もう少し現実に即した数字を知りたい
3.松(STEP3):マネープラン表で将来イベントまで踏まえて精密試算
こんな人におすすめ
- 教育費や住宅購入など、大型出費が控えている
- インフレや老後の生活費、年金受給タイミングも織り込みたい
- Excelや家計シミュレーションツールを使って、年次ごとに計算する手間を惜しまない
STEP1(梅パターン):5人家族の“平均支出”から7,200万円を仮置き
忙しくても「最初の一歩」を踏み出す
共働き3児の家庭は、日々の仕事や家事・育児に追われ、緻密な試算をする時間がないことも多いですよね。
そんな方には、まず「平均支出」をベースにザックリ目標額を設定してみましょう。
5人家族の平均支出をもとに算出
以下は、5人家族(夫婦+子ども3人)の年間支出モデルです。実際の統計データを参考にして作成しました。
表:5人家族(夫婦+子供3人)の年間平均支出
支出項目 | 月額(円) | 年間(円) | 出典 | 調査年 |
---|---|---|---|---|
住居費 | 103,000 | 1,236,000 | 総務省家計調査 | 2023 |
食費 | 96,000 | 1,152,000 | 内閣府消費調査 | 2024 |
教育費 | 64,000 | 768,000 | 文部科学省 | 2023 |
光熱費 | 37,700 | 452,400 | 経済産業省 | 2024 |
通信費 | 18,000 | 216,000 | 野村総研 | 2024 |
交通費 | 41,000 | 492,000 | 国土交通省 | 2023 |
娯楽・交際費 | 34,000 | 408,000 | リクルート | 2024 |
医療費 | 12,500 | 150,000 | 厚生労働省 | 2026 |
衣類・日用品 | 28,800 | 345,600 | 日経新聞調査 | 2024 |
合計 | 438,000 | 5,256,000 | – | – |
4%ルールで逆算すると?
- 年間支出:525.6万円
- セミリタイア後、夫婦で月20万円(年間240万円)ほど稼ぐ想定なら、不足額は年間286万円
- 4%ルール(25倍)の目安で計算すると、約7,200万円(=286万円×25倍)が必要
ポイント
- とりあえず“仮置き”でOK
- 数字があると、家族やパートナーへの説明がしやすい
- 「もっと自分の家計に近い数字にしたい」と思ったらSTEP2・STEP3へ進む
STEP2(竹パターン):自分の支出データを使って5,200万円へ
続いて、よりパーソナライズした目標金額を算出する方法を見てみます。
ポイントは、
家計簿アプリ等を使って支出を把握すること
これに尽きます。我が家(共働き3児)のリアルな家計簿を題材にして、事例を見てみましょう。
我が家の月間支出データ
◆ 固定費
分類 | 予算(円) | 実績(円) | 差(円) 実績-予算 |
---|---|---|---|
住居費 | 95,000 | 95,000 | 0 |
ガス・電気 | 22,000 | 25,000 | +3,000 |
水道 | 5,800 | 12,551※2ヵ月分 | +6,751 |
スマホ・ネット | 8,500 | 8520 | +20 |
保育園 | 34,000 | 33,870 | -130 |
ネットフリックス | 890 | 890 | 0 |
夫婦お小遣い | 40,000 | 40,000 | 0 |
奨学金 | 21,279 | 21,279 | 0 |
コミュニティ | 1,500 | 1,500 | 0 |
合計 | 228,869 | 238,610 | +9,741 |
◆ 変動費
分類 | 予算(円) | 実績(円) | 差(円) 実績-予算 |
---|---|---|---|
食費 | 55,000 | 56,627 | +1,627 |
日用品 | 22,000 | 13,120 | -8,800 |
服 | 6,000 | 9,270 | +3,270 |
医療 | 8,000 | 6,890 | -1,110 |
美容室 | 1,800 | 2,600 | +800 |
レジャー (外食含む) | 20,000 | 24,078 | +4,078 |
冠婚葬祭 | 2,000 | 15,240 | +13,240 |
家電 | 6,000 | 0 | -6,000 |
ふるさと納税 | 0※育休中のみ | 0 | 0 |
その他 (交通費など) | 10,000 | 6,643 | -3,357 |
合計 | 138,000 | 134,468 | +7,961 |
• 月間合計支出: 238,610円(固定費)+ 134,468円(変動費)= 373,078円(≒37.3万円)
実際の支出から逆算

- FIRE後の副収入を夫婦で月20万円(年間240万円)と仮定
- 毎月の不足:37.3万円 − 20万円 = 17.3万円
- 年間不足:17.3万円 × 12 = 207.6万円
- 4%ルール(25倍)で試算 → 207.6万円 × 25 = 約5,190万円
結果:5,200万円ほどあれば、今の生活レベルでFIREが可能
ポイント
- 平均モデル(7,200万円)より約2,000万円ダウン
- 家計状況や固定費を下げるほど、必要資産額も小さくなる
大型出費は上乗せして考える
将来の教育費や特別出費を資産から取り崩す場合、追加試算が必要です。
教育費の一般的な目安※学外活動費(習い事など)を加味
項目 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 66万円/3年 | 150万円/3年 |
小学校 | 96万円/3年 | 462万円/3年 |
中学校 | 144万円/3年 | 402万円/3年 |
高校 | 123万円/3年 | 300万円/3年 |
大学 | 244万円/4年 | 578万円/4年(理系) |
合計 | 673万円/16年 | 1892万円/16年 |
- 例えば、私立理系大学に進学すると約578万円。
- これをセミリタイヤ資産とは分けて用意する必要があり、
- 基礎生活費に加えて、578万円が必要になります。
よって、5,200万円 + 578万円 = 約6,800万円が必要になる計算です。
ポイント
- 将来の特別出費(留学、住宅購入など)も含めるなら、同じ要領で上乗せ
- 株式は長期間(10年程度)停滞するリスクがあるため、この期間内にどうしても現金が必要なる場合は、安全資産(現金、債券、金)で保有する方が安心です。
株式の長期停滞リスクに対する備えは、以下の記事を参考にしてみてください。
STEP3(松パターン):マネープラン表で“年次ごと”に精密試算
「梅・竹」では主に現在の支出から逆算する形でしたが、ライフプランを年次で“見える化すれば、
- 教育費ピーク
- 住宅ローン
- インフレ率
- 老後の生活費や年金受給開始時期
まで踏まえた、よりリアルな目標金額を設計できます。
我が家(共働き3児)のリアルなライフプランを題材にして、事例を見てみましょう。

Excelやスプレッドシートで作るのがオススメです。それでは、作成手順をみてみましょう。
①年齢表を作る
- 今年を起点に、夫・妻・子どもの年齢がどう推移するかを一覧に
- いつどの子が中学・高校・大学に入るか、留学や習い事などの時期もメモ
3-2 大型支出を年別に書く
- 例:「2035年:子①高校入学で塾代アップ」「2038年:子①大学入学」「2042年:欧州旅行 200万円」
- 「この金額はFIRE資産から取り崩すのか?それとも別途プールしておくのか?」も書いておく

我が家の場合は、子供の学費がかかるのは当分先(10年以上)なので、大型出費分は株式で保有しています。
運用利回り・インフレ率をざっくり想定
- 年4%の実質リターン(インフレ調整後)など保守的に見積もると安心
- 年次ごとの資産残高がどう変動するか、Excelなどで試算
ポイント
- 「副業などで毎月いくら稼ぐ想定か」も明記すると必要資産が明確に
- 何十年先まで完全に正確に読むのは不可能なので、定期的に見直してアップデートする
まとめ:まずは“あなたに合ったステップ”から目標資産を仮決めしよう
本記事は、**「いくらあればFIREできるか?」**を知りたい方向けに、目標金額の算出プロセスを3ステップに分けてご紹介しました。
- STEP1(梅):平均モデルを使ったザックリ試算で、最初の一歩を踏み出せる(約7,200万円)
- STEP2(竹):自分の家計簿をベースに、もう少しパーソナライズした数字を算出(約5,200万円)
- STEP3(松):年齢・イベント・インフレなど、将来変化を盛り込んだ精密シミュレーション
完璧な金額をいきなり出す必要はありません。大まかでも数字を持つと、家族やパートナーとの相談がスムーズになりますし、自分自身も「どうすれば達成できるか」を考える土台ができます。

どのステップを採用するかはあなた次第ですが、試算を始めるハードルは意外と高くないはず。ぜひ気軽に挑戦してみてくださいね!
これからも、皆さんのセミリタイア(FIRE)計画がスムーズに進むことを応援しています。
(※投資術の詳細は別記事で解説。投資のやり方を知ると、資産形成の確実性が上がります)
(※節約術の詳細は別記事で解説。家計改善を進めると、必要資産額はさらに下げられます)
(※「なぜセミリタイアを目指すのか」目的を定める方法はこちらでまとめています)
では、また!
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